飲食店の開業を考えたとき、早い段階である程度決めておきたいのはメニューです。
メニューがある程度決まっていれば、客単価の計算ができます。
客単価の計算が出来れば、目標売上数に対し、席数がいくつ必要か見えてきます。
ようするに物件を選ぶ際の必要坪数の計算にも必要になるからです。
開業したいと決めた時点で、ある程度の業態は固まっていると思います。
次のステップは、その業態での『メニュー作り』です。
メニュー作りの際、同時に『原価率』を設定しておきましょう。
~原価率30%とは~
よく耳にする『飲食店の原価率30%』
一体これはどういう意味なのでしょう?
すべての商品の原価率を30%にしなければならないのでしょうか?
原価率が30%ということは、1か月の売上全体に対して原価(仕入金額)の合計が30%ということです。
原価率とはメニューごとではなく、売上全体に対しての比率で考えます。
つまり個別のメニューの原価率を平均すると30%になるということです。
~原価率をコントロール~
一番解りやすい飲み物を例にとってみましょう。
例えばビール。酒造メーカーの製品を、加工するわけでもなくそのまま提供します。
ビールの仕入価格は各店舗によって異なります。
仕入れの少ない個人店は仕入価格が高く、大手チェーン店は個人店に比べ仕入の量が多い分、安く購入できます。
これを一律30%の原価率で販売すると、とてもじゃないけど大手チェーン店には勝てません。
では、ビール以外の商品はどうでしょう?
オリジナルカクテルなど、各店舗が材料を仕入れ、人の手を加えることにより原価率を自由に設定することができます。
原価率が20%しかかかっていなくても、材料の仕入やオリジナルレシピにより、お客様にとって魅力のある商品になれば、お客様は満足して注文をしてくれるでしょう。
このように付加価値によって原価率を下げた商品と、原価率の高くなってしまうビールの組み合わせによって、トータルでの原価率を抑えることができるのです。
~原価を管理しよう~
売上原価を管理するためには、それぞれのメニューの正確な原価を算出しなければなりません。
そして、そのメニューごとの原価率を把握しておきたいものです。
ある程度の原価率を把握していれば、一日の目標利益を達成するために、原価率の低い商品の注文を促すこともできるからです。
『今日は原価率の高い商品ばかり出ているな』と思ったら、『こちらもオススメですよ』と原価率の低い商品を一緒に頼んでいただけるよう一言添えるなどできますよね。
原価を算出し、原価率を把握する方法とは?
解りやすく管理する方法とは?
私の知人のイタリアン料理店で実際に行っていた原価管理の方法をお伝えします。
~レシピシートの活用~
私の知人のイタリアン料理店では、レシピシートを使って原価率を管理しておりました。
レシピには、材料、使用量、調理手順を文章化することで、味と品質のばらつきをなくします。
同時に経理面では、正確な原価を算出する資料となります。
そのレシピシートを使って、原価率の管理をおこなっていたのです。
レシピシートには、材料、使用量に加え、原材料費を記載する枠が設けられ、メニュー名の横には原価率の記載もありあました。
『なるほどな~』と感心しました。
これであれば、スタッフも常に見ているわけですから、一日の目標利益を意識した、原価率の低い商品をオススメする一言がスムーズに言えるわけです。
~食材のロスを減らす~
飲食店を運営していれば、仕込んだ材料の注文がなかなか出ずに、結果、破棄してしまったなどの『食材のロス』が発生します。
このようなロスが『標準原価率』と『実際原価率』の差になります。
【標準原価率】計算上の原価率。それぞれの商品の原価を合計して算出する。
当月売上高÷(商品個別原価×個別販売数の合計)×100%
【実際原価率】支払額に基づく原価率。その月の仕入額から在庫を差し引いて算出する。
当月売上高÷(前月棚卸額+当月仕入額-当月棚卸額)×100%
【標準原価率】と【実際原価率】に大きな差がある場合、本来ならば利益になるはずの食材がロスとなってしまったということになります。
原価を管理することによって、どれだけロスをしたのか明確になります。
そして、このロスの発生の原因追及を必ず行ってください。
原価管理は面倒だと思いがちですが、飲食店の利益UPを目指すには原価管理をきっちりやることが重要です。
中込 絵麻
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