飲食店を開業したい!~開業までの流れとは?~保健所編

飲食店の開業をお考えの皆様こんにちは。

これからオープンするお店のことを考えては、『こんな料理を提供したい』『こんな内装にしたい』『こんなサービスも取り入れたい』『こんな食器に盛り付けたい』『入口にはこんなオブジェを飾りたい』

色々と夢が膨らむ頃かと思います。

しかし、いざオープン準備に取り掛かると、悩むことばかり・・・

なんてオーナーさんも少なくありません。

 

飲食店がオープンするまでには、驚くほど沢山のステップがあるからです。

この沢山のステップと、その流れを理解していないと、自分が決めていたオープンに間に合わなくなる可能性も出てきます。

まずは、オープンまでの流れについて、しっかり理解しておきましょう。

 

 

~飲食店開業までのスケジュール~

 

コンセプトの決定(開業12ヶ月前)

繁盛店や競合店の調査

店舗物件の調査

メニュー開発

事業計画書の作成(開業10ヶ月前)

食品衛生責任者の講習

物件取得価格と内装費用の見積り(開業8ヶ月前)

資金調達(融資)

物件契約 (開業5ヶ月前)

内装業者の選定~設計~着工

各種申請内容の確認

保健所の事前相談

販売ツールの作成(開業3ヶ月前)

仕入先の選定

警察署への届出(深夜営業する場合)

就業規則の作成(従業員を雇う場合)

人材材用(開業1ヶ月前)

労働基準監督署へ労災保険加入の手続き(従業員を雇う場合:雇用の翌日から10日以内)

公共職業安定所へ雇用保険加入の手続き(従業員を雇う場合:雇用の翌日から10日以内)

保健所の書類申請~立ち入り検査の依頼

竣工確認

保健所の立ち入り検査

消防署への届出

プレオープン

オープン

開業○○ヶ月前というのは、あくまでも目安です。業態やお店の規模によって異なります。

 

いかがでしょう?

かなり長い道のりに感じられた方も多いはず。

しかしオープンまでの一年は、あっという間に過ぎてしまいます。

特に必要な申請業務はひとつでも抜けがあったりすると、オープンが遅れたり

いざオープンしてから発覚すると、一時休業にも成りかねません。

しっかりと、開業までの流れと、タイムスケジュールを組むことが大切です。

ここからは『スケジュール通りにいかなかった・・・』

という、問題のひとつによくあがる保健所についてお話していきます。

 

 

~よくある事例~保健所の立ち入り検査①

タイムスケジュールを組んでいても、スケジュール通りになかなかいかないのが保健所の検査です。

内装工事が終わり、保健所に必要書類を提出し受理されたら、必ず行わなければならないのが保健所の立ち入り検査です。

『この日にお願いします』と電話をしても、すぐに来てくれるわけではありません。

開業準備中でただでさえ忙しい中、なかなか日程が合わず、検査が完了したのが、なんとプレオープンの一日前だったという話を聞いたことがあります。

もし、保健所の検査が一発OKいかなかったら・・・

プレオープンはお店側から、お客様を招待しているわけですから、さぞかしヒヤヒヤしたことかと思います。

 

また、保健所の検査日を決めていても、工事の遅れで日程を再度調整しなければならないこともあります。

保健所の立会検査は、タイムスケジュール的に余裕を持って決めることをオススメします。

保健所の立ち入り検査は、オープンしたい日の2週間前くらいには設定しておいた方がよいでしょう。

検査が無事に完了すれば、その時点で営業許可がおります。

営業許可証は2週間ほどで交付されます。

 

 

 

~よくある事例~保健所の立ち入り検査②

では実際に保健所の立ち入り検査がNGだった例をお話します。

居抜き物件にてカフェをオープンさせようとしていたオーナーのお話です。

とにかくプレオープンまでも2ヶ月もとらなかった【スピード開業】。

居抜きでなけれは、2ヶ月では無理です。

 

内装もほとんど手をつけず、工事したのは看板くらいでしょうか。

 

保健所の立ち入り検査も早めに予約しておりました。

『居抜き物件だし、もともと飲食店だったし、保健所の検査が通ってるはずだから特に何もしなくて大丈夫』

なんて思っていたら・・・

検査はNGでした。

ひっかかったのは、手洗器の数が足りていなかったのです。

その地域では、手洗器を客席エリアにもひとつ設置することが義務付けられていたのです。

お客様用は客席エリアに設置するため、設置場所によっては見栄えが良いとはいえない。

しかも設置可能な場所が、そこの店舗の作りだと、どうも目に付く場所しかなく、おそらく前のオーナーは見栄えを重視し、保健所の立ち入り検査後に撤去してしまったようです。

ここに設置されていたんだろうという形跡だけが残っていました。

 

結局、すぐに水道工事業者を手配したものの、お盆の時期で休みの業者ばかり。手洗器が設置されたのは、保険所の立ち入り検査を受けてから1週間後になってしまい、オープンも1週間遅れてしまいました。

 

*居抜き物件だから、検査が通っていると思うのは危険ですね。

 

 

 

~保健所の立ち入り検査に向けて~

保健所の検査『一発OKを目指しましょう』

飲食店営業許可申請は、実は地域によって基準がことなります。

調査の指摘によっては一部の内装のやり直しなんてこともあります。

費用や時間の無駄を防ぐためにも、内装工事が始まる前に、保健所へ出向き事前相談を行うことをオススメします。

 

 

~保健所の立ち入り検査のポイントをご紹介します~

 

主な要件の一部

*2層シンク:大きさは幅450mm×奥行360mm×深さ180mm以上であること

*手洗い:お客様用、従業員用、最低2つは必要です。

その他、洗剤入りの容器の固定が義務つけられています。

*間仕切:調理場と客席エリアの間に間仕切りを設置すること。

*食器棚:戸のついたもの

*冷蔵庫:冷蔵庫内に温度計を設置してあること

*床  :防水性の材料であること。

*窓  :換気扇のないトイレ等は必ず網戸を設置すること

*給湯器:60℃前後の湯がでること

*明るさ:100ルクス以上の明るさが必要です。

(100ルクスというと街灯の下くらいの照度になります)

*換気扇:調理場はもちろん、ホールへの設置も必要です。

換気扇はシャッター付きのものが求められてます。

*更衣室:衛生的な観点により、更衣室と調理場が同じスペースではNGです。

*ごみ箱:衛生的に利用することができる蓋付きのものが義務付けられてます。

 

 

~安全・安心の飲食店であるために~

いかがでしょうか?保健所の検査って厳しいですよね。

しかし、保険所は飲食店が安全で安心な営業が出来るよう、願っているのです。不備ある状態で営業を開始し、後に食中毒や感染症など広めてしまう可能性を防ぐため、保健所は徹底的に検査をします。

やっとオープン出来たお店を営業停止にさせないため、保健所も厳しく検査しているのですね。

保健所の立ち入り検査はオープンしてからも、抜き打ちでくることがあります。

いつ抜き打ちで来られても良いよう、オープン後も安全で安心なお店つくりを心がけていきましょう。

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中込 絵麻

中込 絵麻

調理師
1975年生まれ 東京都世田谷区出身 子供の頃から、飲食店の経営者であった父に憧れ、高校卒業と同時に調理師免許を取得するが、もうひとつの捨てられなかった夢「建築士」を目指し建築学科へと進学。 卒業後は内装設計会社へ就職し、設計~施工管理を担当する。 飲食店、病院、エステティックサロン、オフィス、住宅等を手掛ける。 手掛けた店舗の中には十数年経つ現在も売上をのばし続け繁盛店もあれば、オープンして数年後店舗の前を通ったら違う店舗になっていたという悲しい経験もあります。 夢を形にする幸せをお客様と共感したい。その幸せの形を継続させたい。 そんな強い思いの中、数々の経営者をサポートしてきた会計のプロである当事務所の代表税理士である中野克美と出会いなにか飲食店の皆様のお手伝いが出来ないだろうかと、このプロジェクトを立ち上げました。
中込 絵麻

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