飲食店を開業するには、どのくらい資金がかかるのでしょう。
開業前に準備する資金は『イニシャルコスト』と『ランニングコスト』の2種類あり、この合計が初期費用と呼ばれます。
実際に初期費用の計算をする前に目安の金額設定をしなければなりません。
目安の金額設定をする際に目標とする【月間売上】と【年間売上】が必要になってきます。
『目標とする月間売上』とただ漠然と言われてもどうやって計算したらしたら良いのか・・・と思われる方も多いと思いますので、本題に入る前に月間売上の目標の立て方からお話していきます。
~月間売上の目標の立て方~
売上高=席数×満席率×客席稼働回転数×客単価
*席 数・・・ご自身で想定している席数
*満席率・・・お客様が満席時にどれだけ席を埋めるかを表す数値。計算方法は30席に対して15人しか入っていなければ満席率は50%となります。
*客席稼働回転数・・・営業時間÷平均滞在時間
*客単価・・・メニュー表を作って一人あたりの売上金額を想定し数値にしていきます。
この計算をすると、売上にたいしてどのくらいの席数が必要になるか予測ができ、どのくらいの広さの店舗を借りればよいのか目安になると思います。
では、本題の『開業資金を計算してみよう』に入りたいと思います。
~イニシャルコスト~
イニシャルコストにはどんな費用があるのでしょう。
また、それぞれの費用にどのくらいかけてよいのか、目安の金額設定についてお話していきます。
【物件取得費用】
目安として月間売上*の10%以内で抑えておきましょう。
・保証金または敷金
住宅の場合は家賃の2か月分が一般的ですが、店舗の場合家賃の10か月分が保証金としてかかる場合が多いのです。
また、立地や築年数などによって様々です。
貸主との交渉によっては値下げ可能な場合もあります。
また、保証金は解約時に返金されますが、全額返金ではなく償却分を引かれて返金されますので契約前に確認しておきましょう。
・賃料
月間売上*の10%以内に収めておきましょう。月間売上高を250万円と見込んだ場合は【250万円×10%=25万円】
25万円が目安となります。
・仲介手数料
家賃の1か月分が一般的です。
・前払い賃料
物件を契約してからオープンするまでにかかる賃料のこと。
開業準備や内装工事期間によって、期間は異なりますので、事前にタイムスケジュールをシュミレーションしておきましょう。
【新装・改装費用】
内外装費用、看板などのサイン費用、厨房設備費用、什器備品費用など。
年間売上*の50%以内に収めましょう。年間売り上げ2,600万円見込む場合【2,600万円×50%=1,300万円】
1300万円以内に抑えましょう。
*年間売上について:単純に月間売上×12か月で出すのではなく、売上の変動を予測して出しましょう。飲食店では2・8月が売上が低迷する傾向にあります。業態や立地によっても異なりますので、より詳しく計算したい場合は、お店を出そうとしている地域の同じ業態のお店をリサーチするのも良いかと思います。
【その他の費用】
レジ、従業員の制服、メニュー表製作、販促物、パソコン等の費用です。
定価のある商品はインターネットで調べられますので、金額を計算してみましょう。
販促物に関しては初期投資費用の5%で抑えておきましょう。
以上がイニシャルコストになります。
~ランニングコスト~
賃料、材料費、人件費、水道光熱費、広告宣伝費などの経費は6か月分確保しておくことが望ましいです。最低でも3か月分は必要です。出来るだけ余裕をもってランニング費用を準備しておくことをおススメします。
~実際に計算してみましょう~
例:東京都内で日本料理店を開業する場合
【店舗情報】
業態=日本料理店
月間売上=250万円
席数=26席
店舗=東京都内・20坪
◆開業資金の計算◆
【物件取得費用】
保証金 250万円
礼金 25万円
賃料 25万円
仲介手数料 25万円
前払賃料 25万円
【新装・改装費用】 850万円
【その他の費用】 80万円
合計 1,380万円
このように開業資金のシュミレーションをしていくと、メニューや席数や店舗に必要な広さが明確になってきますので、何度もシュミレーションを重ねていくと良いかと思います。
中込 絵麻
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