飲食店開業に重要な題材のひとつとして物件選びがあります。
コンセプトやメニューなどのソフト面は、やり直しは出来ますが、物件となると簡単にはやり直しが出来ません。
飲食店の開業資金の中で物件契約と内装工事にかかる費用の割合は非常に大きいからです。
いくら希望のエリアや物件だからといって、初めの一歩に無理な予算をかけることはオススメ出来ません。
無駄のない物件選びのために【物件選びの前に決めておく3つの材料】について再度お話させていただきます。
~物件選びの前に決めておく3つの材料とは~
以前お話をさせて頂きましたが、再度おさらいしてみましょう。
物件を選ぶ前に決めておかなければならないものとは?
①メニュー
②客単価
③目標売上
メニューと客単価が決まらなければ、目標売上の設定は出来ません。
目標売上が決まれば、回転数を予測し、必要席数が見えてきます。
必要席数が決まれば、必要な坪数が解ります。
必要坪数と予算で、エリアが絞られます。
エリアを絞り込んだら、お店のターゲット層の通いやすい物件を探します。
例えば、OLやサラリーマンがターゲットであれば、オフィス街や、オフィスから駅までの通勤ルート圏内、ファミリー層がターゲットであれば住宅街から通いやすいエリアなどです。
~商圏をチェック~
具体的に検討する物件が決まったら、その物件の【商圏】を調べましょう。
【商圏】とは、これから開業するお店に来店されるお客様の居住地または勤務地、つまりお客様のいるエリアのことをいいます。
商圏は距離ではなく時間で表します。
通常、私たちがお店を選ぶ際『A店までは2キロあるから、1キロで行けるB店にしよう』といってお店を選びませんよね。
『家から何分かかるか?』『会社から何分かかるか?』と考えるものです。
目標とする店舗に向かう際、徒歩や自転車、車や電車などを使って一定時間内に到着できる範囲を【商圏の範囲】といいます。
つぎに【商圏の大きさ】とは?
商圏の大きさは人口で表します。一定時間内に到着できる範囲に、どれだけの人が住んでいるか、または勤務しているかということです。
同じ商圏範囲(広さ)でも商圏人口が多ければ多いほど、飲食店経営には有利ということになります。
~客単価と商圏の関係~
コンビニエンスストアとデパートを例にとってみましょう。
コンビニエンスストアに一回行くといくらお金を使いますか?
では、デパートでは一回にいくらお金を使いますか?
もうひとつ質問です。
コンビニエンスストアには年間何回行きますか?
では、デパートには年間何回行きますか?
コンビニエンスストアは客単価が低く来店頻度が高い。近くて便利でなければなりません。
デパートは客単価が高く来店頻度は低い。さらにデパートに行く際の交通手段は電車やバスを利用する人が多い。
つまり、客単価を低く設定したのなら商圏範囲は小さくて良いが、客単価を高く設定したのなら商圏範囲は大きくとらなければなりません。
客単価を高く設定するのであれば、交通手段のよい立地を選ぶと良いでしょう。
平日よりも休日の売上が高くなるので定休日の設定も決まってきます。
~ターゲット層の利用動機にあった物件選びを~
毎日通える店舗なのか、アミューズメント感覚で贅沢を楽しみに来店して頂く店舗なのか、お店のスタイルによって商圏範囲を考慮する必要があります。
必要坪数と予算によって絞り込んだ物件が、ターゲット層の利用動機に対応できているかどうかという問題は、商圏を調べることによってより明確にみえてきます。
中込 絵麻
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